ぼっと

埼玉出身である。

ちなみに、今も埼玉に住んでるし、実は埼玉にずっと住んでいる。

先日、ふと、小さい頃、友達と遊んでいて、よく言ってたことばを思い出し、手元の辞書を引いてみた。だが、ない。どこにも、ないのだ。

埼玉っ子は、自分が共通語を話していると思っている。

まあ、群馬や栃木との県境近くに住んでいた高校の同級生なんかは、結構訛があったが、しかし、少なくとも大宮に電車で10分という場所に住んでいる私が話している言葉は、NHKのアナウンサーのしゃべる言葉と一寸の違いもないと思っている。

なのに、ないのだ。おかしい。それはこんな言葉だ。


「わざとじゃないよ、ぼっとだよ」


この「ぼっと」が辞書に立項されていないのだ。なぜだ。

ちなみに、この意味は、文脈からも察するように「わざとではない、故意ではない」という意味で、「悪気がないんだから、大目に見てよ」という気持ちをこめた言い方だ。

たぶん「ぼーっと」が語源ではないかと思う。しかし「ー(おんびき)」は入らない。

言葉は生きている。紙にピン止めされるのは、その中のごくわずかだ。辞書に載っていないということは、多くの場合、「方言」である可能性が高い。そこで、ネットで「わざと、ぼっと、方言」で検索したところ、群馬、茨城、福島の人たちが「ぼっと」を自分たちの方言と認識しているらしいことが分かった。

ここで私も証言しよう。「埼玉でもそれ言いいます!」

つまり広く北関東で使われていることばなのではないだろうか、ということが今のところの追跡結果。

そして、おそらく、群馬、茨城、福島の人たちがそれを自分たち特有の「方言」と認識しているのに対して、埼玉県民はそれを「共通語」として認識しているのだ。

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